ゲキトウ全1巻[島本和彦漫画]

「あいつ…目が……、目が、生きてやがる！？」

　冒頭からして抑えようもないほどに溢れ出す島本テイスト。
※画像右下隅クリックで拡大。

■「バ、バットの方がボールに打たれちまった！？」
　2004年、1巻を刊行直後に連載を中断し、そのままお蔵入りとなっていた作品の完全版(2010年刊行)。
　書き下ろし、ササキバラ・ゴウ氏との対談も含め368ページにも及ぶボリューム。
　同時期に連続刊行された島本氏復刊シリーズの一つ。

　一度身体を壊しリタイアした元プロ野球選手、不屈闘志の再起に賭ける激闘を描いた物語。
　男は倒れても立ち上がれ！倒れたままでいる必要はない！
　という熱いメッセージが響きます。

　基本、逆境ナインという島本氏の出世作の続編にあたる漫画ですが
　内容的には十分に「独立した物語」となっています。
　というか私にはそうでした。
※当時1巻を読んだ後、逆境ナイン新装版が刊行。

　上の画のように安心の島本テイストですので
　超級Gガンなど、同氏の作品を「面白い！」と思ったことがある方には是非お勧め。全1巻ですし。
　ちょっと何言ってるんですか！？と読者もツッコミながら楽しめます。

　野球漫画ですがルールは知らなくてもオッケー。
　また、例えるならキン肉マン的な勢いに任せて理論を蹴り飛ばすタイプなので
　そういった作品が好みの方にもお勧め。
　熱い男のパルスが伝わります。

　伝わりすぎて「なんでここで終わるんだよバーカ！」と単行本をたたきつけたくなること請け合い。
※褒め言葉です。

■俺の、この十年を込めてみるか！
　二巻相当分を象徴するのが不屈のこの台詞ですが
　そんな溢れるやる気パルスがとあるキャラに伝播し激闘を繰り広げるクライマックスは熱いの一言。