今巻は、オキナガを『管理』する為の、事実上の収容所のお話。
といっても“出られない”以外は立派なものという辺り、なんとも日本人的なものを感じますね。
今まで数百年と、ここ百年ですっかり様変わりした戸籍という制度。
といっても“出られない”以外は立派なものという辺り、なんとも日本人的なものを感じますね。
今まで数百年と、ここ百年ですっかり様変わりした戸籍という制度。
役人は、彼らを外に出すわけにいかず、彼らも外に出たところで何が出来るわけでもない。けれど……。
■殺人事件
今巻は、前後編なのか?と思うくらい何も起きなかったですが、最後でどんでん返し。
思えばきっちり伏線も張ってあったというワケで
面白かったです。
今巻は、前後編なのか?と思うくらい何も起きなかったですが、最後でどんでん返し。
思えばきっちり伏線も張ってあったというワケで
面白かったです。
■絶望の楽園
オキナガを管理すると共に、彼らに『人間社会で暮らす』為のスキルを学ばせる居住施設を訪れた伏木。
人と暮らせるスキル、それさえ得れば出る事が出来るのだが
年長者である彼らには、案外難しい。
オキナガを管理すると共に、彼らに『人間社会で暮らす』為のスキルを学ばせる居住施設を訪れた伏木。
人と暮らせるスキル、それさえ得れば出る事が出来るのだが
年長者である彼らには、案外難しい。
多くは昔の時代から、隠れ生きてきた人間であり、ひらがなすらキツい程に学がないのだから。
ある日、入居オキナガの一人が“自殺”してしまったのも
ここから出られないが為だった。
ここから出られないが為だった。
野山を無戸籍で過ごせる時代はとうに終わった事を、彼は受け入れられなかったのだ。
また伏木は、雪村が『オキナガ化』させた、羊殺しの目撃者の少年が、60年も眠っている事実を知る。
![イメージ 1]()
今巻、すごく切なかったのがコレで、一見すると、いかにも気難しそうなお婆さんだったのが
実は『娘』、母親思いの優しい娘さんだったお話。
『お母さん』と娘
今巻、すごく切なかったのがコレで、一見すると、いかにも気難しそうなお婆さんだったのが
実は『娘』、母親思いの優しい娘さんだったお話。
生き別れ、母はオキナガ化して生きていると知って以来、毎年会いに来ているそうです。
けれど『孫』も『ひ孫』も、彼女を怖がって会いにこない。
自分が死んだら、母は一人ぼっちになる。
自分が死んだら、母は一人ぼっちになる。
ああ、そういう事情だったのかと解って来る流れといい、切ないエピソードでした。
![イメージ 6]()
また、借金で首が回らなくなり、ちゃんと学があるのに“外”へ出ようとしない、なんてオキナガも。
ていうか、この爺ちゃんってば絶対ケンカする事自体が目的ですよね!
この爺ちゃんが死んだら、寂しいだろうな…。
『あんたと知り合って25年、俺も70歳だ』
また、借金で首が回らなくなり、ちゃんと学があるのに“外”へ出ようとしない、なんてオキナガも。
ていうか、この爺ちゃんってば絶対ケンカする事自体が目的ですよね!
この爺ちゃんが死んだら、寂しいだろうな…。
収容所と言っても、外で暮らせるだけのスキルが身に付けば、外に出して貰えるシステム。
![イメージ 8]()
元々、多くは「戸籍」といったシステムがユルかった時代から、野山で生きてきた人たちが多く
現代には到底そぐわず、物書きなんかも殆ど出来ないし
今更、やる気にもならない。
『彼らはひどく警戒心が強いよ、“昼間の人間”に対してはね』
元々、多くは「戸籍」といったシステムがユルかった時代から、野山で生きてきた人たちが多く
現代には到底そぐわず、物書きなんかも殆ど出来ないし
今更、やる気にもならない。
長命種といったって、知識を高めていくような生き方をするかというと…。
こういう風に『そういう常識がある世界』を創作するのが、ホント凄いなと思います。ゆうき先生。
![イメージ 9]()
今巻、貴重なタメ口になんかグッときた久保園さん、冒頭でもまた良い事を言うの図。
価値観の違いは当然だ、という出発点はとても大切ですよね。
今巻の久保園さん
今巻、貴重なタメ口になんかグッときた久保園さん、冒頭でもまた良い事を言うの図。
価値観の違いは当然だ、という出発点はとても大切ですよね。
ビッグコミックス「白暮のクロニクル 5巻」。ゆうきまさみ。
週刊ビッグコミックスピリッツ連載、小学館発行。
2015年1月発売(前巻2015年1月)
週刊ビッグコミックスピリッツ連載、小学館発行。
2015年1月発売(前巻2015年1月)
第5集「絶望の楽園」シリーズを収録。