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Channel: GNO2及びGNO3 連邦 情報部 こっそり日記
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残響のテロル ♯11「VON(完)」感想

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伏線回収の快感、納得の上の死、やるせないけど、納得の最終話。

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 爆発まで2時間も猶予を設けた理由、なぜナインが「原爆」なんて使ったのかという点も含め
 納得のギミック、やるせない結末の最終話。
 上手い、そして哀しい。

 アイスランドの音楽だって。そして「VON」は、アイスランドの言葉で「希望」だって――――。

■寒い国の音楽
 しかし、ずっと引っかかってた寒い国の音楽がここで使われるとは!
 ギミックが凝った作品でした。

 仕掛けも、音楽も映像も、本当に凝った作品でした。スタッフのみなさま、御疲れ様でした。

『本日、午後8時21分。政府は緊急事態宣言を発令―――』

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 事実上、僅か20分での発令! そして見る間に飛行機の席は埋まってゆく……。

■少年達の希望<VON>
 ナインの原爆は、人死にではなく「電子機器破壊」を狙って引き起こされたものだった。
 科学によって人生を捻じ曲げられた、少年達の復讐劇。

 彼らは狙い通り「原爆をもったテロリスト」として、この上ない注目を浴びる。

 彼らを疎んじた米国の手で
 或いは「薬剤の副作用」で寿命を迎えたことで、スピンクスの二人は死を迎えた。

 しかし、元々「死ぬ」と判っていた彼らが、死ぬ気で引き起こした大事件は隠しきる事が出来ず
 彼らを生み出した元凶は、白日の下へ引き出されたのだった。

 終わり。

柴崎さん『考えても見ろ、あいつら、今まで何人殺した?』

『“原子爆弾は爆発する”、しかし、一人も死なない。そんな事、起こり得るか?』

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 警察署爆破でカメラを仕込んだのも、周囲に人がいないか確認するためだった。なるほど……。

■死なない原爆
 ナインが自動発火させたのは、首都の遥か上空で『高高度核爆発』を起こさせるためだった。
 成層圏で爆発させれば、当然、人的な被害は出ない。
 しかし「大規模な停電」を誘発する。

 間違いない、原爆は空の上だ―――――――!

 ナインは人死にが出ない方法で、かつ「原爆を使った」とアピールする為に、この方法を選んだのだ。

研究員『高高度核爆発は、高層大気圏での核爆発です―――』

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 爆発の被害は出ないし、放射能も宇宙に飛散する。
 しかし大規模な電磁パルスが拡散。

 その規模たるや、日本中の電子機器を破壊するに十分な量だという。

 対策処理されたものは少なく、特に「航空機」では、米軍のモノぐらいしか対策処理されていない。

ツエルブ『あいつも俺も、誰かに必要とされたことなんて、無かったんだ……』

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 警察の現場トップ、倉橋さん超有能。

■最後のテロル
 柴崎たちの迅速な推理は、残り一時間程度で真相を突き止め、対策に奔走させた。
 幸い、飛行中の航空機も全機着陸に成功
 医療機関にも通達。

 だから、リサ。キミに逢えて良かった―――――。

 しかし発見から時間が経ちすぎ、航空機による追撃も不可能に。
 なんとか「対処」するので精一杯だった

 なす術なく見守る日本国民の上空で、スピンクスの原爆は爆発する――――。

係員『機体の限界高度を越えました、これ以上の追跡は不可能です………』

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 余談ですが、大気圏上層は酸素が薄いので、航空機は推進器が使えなくなります。
 また、同じ理由で「揚力」も得ることが出来ません。

 推理は迅速でしたが、ナインの「不可能宣言」は正しかった訳ですね。

日本のオーロラ

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 爆発を見届けた後、予告された通り「電子機器破壊」の電子パルス放散現象が発生
 ナインが持っていた携帯も壊れてしまう。

 ここまではナインの予定通り。
 しかし、期せずして空にオーロラが広がり、ナインも呆然と空を見上げた。

 オーロラも、原理は蛍光灯などと同じ。これも電子パルスとやらが起こした奇跡だったのか…?

ナイン『―――首都高で手榴弾を使ったろ? 恩にきるよ』

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 すごく不思議で、昔の仕掛けオルゴールのようなBGM。良いなぁ……。

■最後の休息
 翌日、人気が失せた東京の「養護施設跡地」で、スピンクスは穏やかな時を過ごす。
 ナインはツエルブを許し、リサも加わり
 歳相応の笑顔で笑いあう三人。

 ナインは「電磁防御」処理していた携帯を取り出し、リサと共にお気に入りの曲を楽しむ

 ツエルブも加わり
 最後の時を、待ち人を待って時を過ごす――――。

リサさん、ミニスカートでサッカーするという暴挙

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 最終回までヒヤヒヤさせるね!

柴崎『ここがお前達の故郷、お前達が“見せたかった場所”なんだな?』

『―――お前達は、はじめから捕まる気だったんだな……』

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 柴崎さん、最後までナイスダンディ。

■真相
 問いかける者「スピンクス」が待っていたのは、謎を解くもの「オイディプス」。
 柴崎をオイディプスに見立て、彼らは待っていたのだ。

 その事を突き止めて、俺達を捕まえにくる人間が必要だった。

 数々の事件は、スピンクス自身に世間の注目を集める為。
 そうやって「握りつぶせなくする」為。

 最大限に事態を大きくすることで、自分達と原爆、二つを白日の下に晒すのが目的だったのだ。

柴崎『バカな! なぜ米軍が!?』

米国高官『――――彼らの存在は問題だ』

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 現在、国内で「飛べる」唯一の勢力、米国の軍事ヘリが強襲する!

■誤算
 だが投降を目前に、ツエルブは銃殺され、ナインは「天才化の副作用」で寿命を迎える。
 ハイヴの一件で「二人が捕まったら困る」と米国は判断
 独自に暗殺部隊を寄越したのだ。

 裁判ですべてを明らかにする。お前達が、命を懸けてやろうとした事を―――!

 ナイン達の目的は、柴崎が引き継いだ。
 引き継ぐものが現れたことで、ツエルブは苦しみながらも息を引き取る。

 しかし、ナイン達が命を縮めてしまったのは、回りまわればハイヴが無茶したせいってのが切ない。

ナイン『なあ、俺達を覚えていてくれ』

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 俺達がいた事を覚えていてくれ。俺達が、生きていた事を――――

 寿命を勝手に縮められ
 いつしか、自分達が居たことすら無かったことにされていた少年は、それだけ言い残し息を引き取る。

 度々見せていた「ナインの耳鳴り」は、彼の体が限界だと示す描写だったのか……。

期せずして、同じように言い残した二人

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 原爆が爆発する直前のシーンでは、ツエルブもまた「キミに逢えて良かった」と言い残しました。
 もう時間が無い、自分達の体は限界だと知っていた二人だから
 すごくちっぽけな事に、大きな感謝を告げる。

 逆にリサにしてみれば
 自分こそ迷惑かけ通しだったと思っているはずです。

 だからこそ、あの時リサは泣いたんじゃないかなって、私はそう思います。 

リサ『あっという間に一年が過ぎた――――』

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 首魁だった間宮氏も、あのまま息を引き取られた模様。

■希望<VON>
 それから一年が経ち、ナインとツエルブ達の「墓」を見舞うリサ、柴崎の姿があった。
 柴崎は、約束を果たしたようだ。

 アイスランドの音楽だって。そして「VON」は、アイスランドの言葉で「希望」だって――――。

 柴崎は、スピンクスが青森で、そして爆薬に書き残していた「VON」の意味
 いつか聞いた「寒い国の音楽」の意味を知る。

 もう生きる時間が残されていない少年たちは、自分らの「希望」を懸けたのだ、と。

こうして事件は、どうしようもない結末を迎えた―――

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 本当に綺麗な終わりでした。

■どうしようもない中で
 残響とは、音源が発音を停止した後も音が響いて聞こえる現象だと言われてします。
 とっくに終わってしまったはずの実験が
 引き起こした惨劇。

 前振りをきちんきちんと回収し、どうしようもなく綺麗に着地。

 米国連中の身勝手さも印象に残りますが、だからこそ「対抗する為に」スピンクスも原爆も生み出された
 という筋立てを思えば、納得のいく結末ではないでしょうか?

 後味はよくはありませんけれど、そういう結末こそ相応しい作品だったのも確か。
 スタッフの皆様、本当にお疲れ様でした。


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